高森鉱山鉄道(その5)

map-4Cimg0195A地点の様子はご覧のとおりで、フェンスにしっかりと囲まれており、侵入は不可能。フェンスの中は資材置き場になっているようで、軌道跡が残っている可能性はまずなさそうだ。

Cimg0196A地点からB地点へ移動する途中の軌道跡があったと思われる場所だが、資材置き場が野内川まで続いている。

Cimg0203野内川に架かる宮田橋。橋を渡ってすぐに右折すると、青森市と七戸町を最短距離で結ぶみちのく有料道路へ通じる。

Cimg0202宮田橋から野内川の下流側を望む。この辺りに鉱山鉄道の橋が架かっていたはずであるが、痕跡は何も残っていない。

その2でも紹介したI氏から頂いたメールによると、ここに鉄橋があって、昭和30年代の半ばまでは存在し、最後はダイナマイトで爆破されたとのことだ。鉱山鉄道は川の手前300mくらいから河原まで徐々に堀り下げられ、軌道の上には道路橋が架かっていた。また、川に架かる橋は今の宮田橋に比べればはるかに短かったようである。

上の空中写真は昭和50年に撮影されたものだが、I氏の証言どおり、鉱山鉄道の上を道路が通っており、軌道が野内川に向かって掘り下げられているのが分かる。軌道を河原まで掘り下げることにより、橋の長さをギリギリまで短くしていたということのようだ。一方で対岸は、当時は広い河川敷となっていたが、河川改修で土が盛られ、現在は河川との比高がかなりある。

Cimg0242さて、地図上では、みちのく有料道路の交差点の次の交差点付近に鉱山軌道の跡に続くと思われる道路があるはずだ。

Cimg0215交差点付近を調べてみると、白い車庫の脇に細い道がある。

Cimg0217前に進むと、道は畑の中を緩く弧を描きながら伸びている。鉱山鉄道跡はその後埋め戻されたらしいので、この道の下を鉱山軌道が通っていたに違いない。

Cimg0219C地点とD地点の中間あたり。道は左右の農地よりも一段高くなっており、掘り込みが終わり、築堤が始まっているようである。

前方に小屋と軽自動車があり、老夫婦が農作業中であったので、この道について確認してみたところ、ここをかつてトロッコが通っていたという。
老夫婦の話によれば、鉱山軌道が廃止になった後、軌道跡は不動産業者の手に渡ったという。この辺りの農家は鉱山軌道廃止後は、この道を農道として使って いたのだが、後に不動産業者から道路として使うなら買取るように求められ、仕方なく両側の土地所有者が半分ずつ購入したそうだ。だから今でもここは私道な のだそうだ。
一時は、鉱山軌道跡をみちのく有料道路用地として買収するという話もあって、老夫婦もかなり期待したらしい。しかし、結局道路はここを通らなかった。

Cimg0221先ほどの老夫婦の小屋から百メートルほど進むと、軌道跡は農道としては利用されなくなる。幅1mにも満たない普段は水の流れていない用水路にも、しっかりとコンクリート製の橋台がある。中に立っている木の構造物は橋脚なのだろうか。

Cimg0223D地点には比較的大きい橋台が残っているが、橋は架かっていない。これが農道として利用されていない原因のようだ。近くに別に農道があるのでそちらを利用すれば支障はないので、橋を架けかえることはしなかったのだろう。I氏の生家というのが、写真に小さく写っている青い屋根の家だそうで、この橋台には橋が架かっていた記憶はないそうだ。また、I氏が物心ついたころには、レールはすべて撤去されていたが、上の兄たちはトロッコでよく遊んだ記憶があるということで、レールは戦後間もなく撤去されたのではないかということだ。

Cimg0226D地点を過ぎると、軌道跡は再び農道として利用されている。こうして見ると、しっかりと築堤されている様子が分かる。軌間508mmのナローゲージとはいえ、しっかりとした造りになっている。

Cimg0231さらに進むと、橋が現存している。木の橋桁に鉄板を渡して自動車が通れるようにしてある。橋桁の上には枕木と思われるものも残っており、橋桁自体は鉱山軌道の現役時代のものかもしれない。

Cimg0233鉱山軌道跡の道路はE地点で舗装路と合流する。ただし、軌道跡自体は舗装路上ではなく、舗装路左上の緑地帯のようだ。
緑地帯をまっすぐ進むと運送会社の社員用駐車場になっている。

Cimg0237その駐車場を越えると再び軌道跡が続いている。駐車場は軌道上に造られているわけだ。

Cimg0235駐車場の上から軌道跡を見る。地図を見ても分かるが、この工場によってF地点で軌道跡は途切れてしまっている。そのためか、この辺りでは軌道跡は道路として使用されていない。畑にも転用されていないので、緑の帯として残っているだけだ。

Cimg0239軌道跡が途切れる直前。ここでは軌道跡にビニールハウスが建っている。家の前の通路よりもビニールハウスの建っている場所が一段高くなっていることで、築堤の跡であることが分かる。


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